世界中で林業従事者は1,300万人を超えていると言われています。多くの現場は危険と隣り合わせであり、木材、建築・建設、紙産業等の関連産業の従事者を含め労働者の権利を守ることは非常に重要です。
その発足以来FSCは、FSC認証林における労働者の権利と安全を優先事項として扱っています。FSCの10ある原則のうち2番目は労働者の権利を尊重し、福利厚生を維持・向上させることで労働者を守るための基準から成っています。
FSCがその制度内で労働者に力を与えようとする姿勢は、上記の原則だけでなくグローバル戦略計画にも反映されています。
ILOの要求事項に従い、労働者の権利を守ることは常にFSCの森林管理において求められてきました。これによって1,500を超える事業体がFSC認証林において労働者の権利を守っています。
そして、この度FSCでは労働者の権利を守るための取り組みを世界中のFSC認証取得者に広げるための一歩を踏み出しました。2017年9月にそのような決定が下されたことによって、今後は34,000を超えるCoC認証取得者が労働者の権利を尊重し、守るための具体的な措置を導入することになります。
FSC事務局長のKim Carstensenは次のように述べています。「FSCは、10の原則の1つでもある、労働者の社会経済的な状態を向上させることに邁進し続けます。この9月の決定は私たちが労働者の権利をどれだけ重要と考えているのかを明確に表しており、この決定に基づく取り組みは確実に進めていきます。」

以前こちらのニュースでもお知らせしましたが、「ILOの中核的条約の原則に基づく標準基準と指標(ILO標準指標)」は、グローバルそして国内の森林管理規格への反映から始まっています。3月に浜松で行われたFSC理事会において、ILO標準指標をFSCの国際標準指標(IGI)に追加することが決定されました。日本においては、国内森林管理規格の承認後24ヶ月以内にILO標準指標を反映することが求められます。
CoC認証制度へのILO標準指標導入については、現在その潜在的な課題や機会を調べるための実現可能性評価とリスク評価が計画されている段階です。FSCでは、現在CoC審査・監査を通じたILO要求事項の確認だけでなく、労働者の権利に関する問題を評価するその他の方法も同時に検討しています。
FSC労働者ソリューションフォーラムの1回目の打ち合わせが昨年開催され、そこでは革新的なソリューションを作るために、今年はより多くの認証取得者、労働組合、その他の利害関係者に参加して貰う必要があるということが分かりました。
FSCの労働問題マネージャーであるPaul Opangaは次のように述べています。「FSCにおけるその他のプロセス同様に利害関係者からの意見は非常に重要です。新しいILO標準指標をCoC認証に導入することは大変大きなタスクであり、今年からはより多くの認証取得者や労働組合に参加してもらわなければなりません。一方、大変なタスクではありますが、FSC制度内で労働者に力を与え続けるために私たちは確実にこれを進めていきます。」
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