FSCミックス製品製造の際に使用できるFSC管理木材の調達方法として、非認証材のリスク評価に使われるナショナルリスクアセスメントが欧州森林破壊防止規則(EUDR)にも沿った方法で見直されています。

日本では、FSC国際事務局主導でコンサルタントが草案を作成する、セントラライズド・ナショナル・リスクアセスメント(CNRA)の形で進められてきました。この度、作成された以下の草案について皆様のご意見を募集いたします。

本プロセスのこれまでの経緯はこちらのニュースでもご覧いただけます。
 

CNRA草案パブリックコンサルテーション用_日本語.pdf
PDF, サイズ: 2.28MB
CNRA草案パブリックコンサルテーション用_英語.pdf
PDF, サイズ: 739.63KB
日本CNRA草案20251224英語原版
XLSX, サイズ: 853.14KB

CNRA草案の内容

新しいCNRAでは、EUDRに沿った要件を加えた64の指標についてリスクが評価されています。評価結果について、従来のNRAでの「特定リスク」は「無視できないリスク」、「低リスク」は「無視できるリスク」という表現に変更されています。

「無視できないリスク」をもつとされた地域から管理木材の調達を希望する場合は、特定された「無視できないリスク」についてリスク低減措置を適用し、十分にリスクが低減されたことを確認したうえで調達することが求められます。

 

今回の草案で、「無視できないリスク」という評価結果になっているのは、以下の指標です。

  • 04. 伐採許可は整備されており、法的要件に従って発行および登録されている。
  • 08. 法人税の支払いに関する法的要件が遵守されている。
  • 12. データ及び文書の改ざんは発生していない。
  • 13. 管理活動に関する法的要件及び関連する業務上の要件が遵守されている。
  • 14. 管理活動に関連するインフラの整備及び維持管理は、環境的価値の保護に関する適用される規範及び法的要件に準拠している。
  • 15. 管理活動に関連するインフラの開発および維持管理は、環境的価値への悪影響を最小限に抑える方法で行われている。
  • 21. 管理活動による土壌への悪影響は最小限に抑えられ、法的要件を遵守している。
  • 22.  労働安全衛生に関する法的要件が遵守されている。
  • 23. 設備と作業活動は安全であり、従業員の健康が守られている。また、従業員は、作業活動に見合った適切な安全装備(PPE)にアクセスでき、かつ使用している。
  • 36. 労働時間、時間外労働、休憩時間及び休暇に関する法的要件が遵守されている。
  • 40. 職場における男女平等に関する法的要件が遵守されている。
  • 41. ジェンダー平等は、ILOの「労働における基本的原則及び権利」に規定されるベストプラクティスに準じて守られている。
  • 43.  先住民族の権利(土地の所有権及び管理権を含む)は、FPICの原則に従って尊重され、保護されている。
  • 48. 先住民族、伝統的民族及び地域コミュニティとの交流は、敬意をもって文化的に適切な方法で行われている。
  • 54.デューデリジェンスまたはデューケアに関する法的要件が遵守されている。
  • 56. 20201231日以降、天然林から農業以外の土地利用への転換は行われていない。

CNRA草案では、「無視できないリスク」とされたリスクについて、推奨されるリスク低減措置も提案されており、管理木材調達のためのデューデリジェンスの一部としての適用の現実性も今回のコンサルテーションで問われています。

意見公募(パブリックコンサルテーション)への参加方法

今回の意見公募(パブリックコンサルテーション)は202626日(火)まで行われます。以下のリンクのプラットフォームから特に以下の点についてぜひご意見ください。

  • 草案のリスク判定、およびその根拠が適当かどうか。より適当な根拠やデータはあるか。
  • 提案されているリスク判定が妥当でないと考える場合、その根拠は?
  • 「無視できないリスク」とされたリスクについて、推奨されるリスク低減措置は適当で現実的に実施可能か?ほかにどのようなリスク低減措置が考えられるか?

https://consultation-platform.fsc.org/en/consultations/take/cfd2fa1c716a26

尚、こちらのリンクは通常のFSC規準文書のコンサルテーションプラットフォームとは異なります。通常のプラットフォームのリンクからログインいただいてもCNRA用のコンサルテーションページはご確認いただけません。

こちらのコンサルテーションプラットフォームでは、各セクションごとに意見を提出いただくようになっております。日本語はございませんが、適宜ブラウザの自動翻訳等を使用し、ぜひご参加ください。

また、どうしてもコンサルテーションプラットフォームを使用しての意見提出が難しい場合、以下のフォームに記入し、FSCジャパン担当三柴(c.mishiba@jp.fsc.org)宛にお送りいただいても結構です。

各国でのリスクアセスメント策定状況

EUDRに沿ったリスクアセスメントの策定/改定作業は世界各国で進められており、各国での進捗状況は以下のサイトでご確認いただけます。

https://connect.fsc.org/contribute-standards/fsc-country-requirements-schedule

完成した新NRA/CNRAは以下のFSCリスクハブに公開されます。

https://riskhub.fsc.org/

CNRA 意見提出フォーム.docx
DOCX, サイズ: 16.27KB