2024年3月、イギリスの消費者団体誌「Which?」が、国内で販売されている複数の「竹100%」と表示されたトイレットペーパーを調査しました。その結果、一部の製品には竹が一切含まれておらず、代わりにユーカリやアカシアといった成長の早い広葉樹が使われていたのです。これは単なる誤解を招く表示ではなく、消費者の信頼を大きく裏切る行為です。
FSCは、このような信頼の裏切りを容認しません。
Which?誌から問い合わせを受け、FSCは直ちにFSC認証製品の調査を開始しました。パートナーであるASI(Assurance Services International)と協力し、サプライチェーンを調査した結果、FSCラベルの明確な不正使用が発覚しました。
その結果、虚偽の主張を行った中国の認証取得者1社を、FSCシステムからブロックしました。これにより、この組織はFSC商標を使用する権利を失い、一定期間、認証を取得することも禁止されます。これはFSCがとりうる最も厳しい措置の一つであり、他の組織への明確な警告となります。
しかし、この問題は単なるFSC認証規格の不適合に留まりませんでした。一部の認証取得者が、FSCラベル表示や商標利用に関するルールを誤解していたことも原因でした。このため、FSCは関係する組織と直接協力し、問題を修正するとともに、FSCラベルの正しい使い方を徹底するよう指導しました。
FSC認証システムは常に進化し続けます
FSC認証取得者は、その年にFSC認証製品を全く販売しなかった場合、「FSC認証製品の販売ゼロ」と申告することで、年次監査を免除されることがあります。しかし、この規定が悪用され、FSCの信頼性が意図的に損なわれるケースが見られました。
今年初め、FSCは新たなアドバイスノートを発行しました。これにより、中国で竹製品を扱う企業は、たとえFSC認証製品の販売がゼロだったとしても、年次監査を免除することはできなくなりました。また、竹のような不正リスクが高いサプライチェーンに対しては、追加の監査措置も導入しました。
現在、私たちは「FSC認証製品の販売ゼロ」の申告に対する透明性を高めるため、別の通アドバイスノートを準備しています。まもなく、「販売ゼロ」の申告が、FSCのデータベースで公開されるようになり、多くの人々の目に触れることで、説明責任が高まり、不正の余地は減るでしょう。
FSCは、FSCラベルが不正に使用された場合、躊躇なく行動します。私たちは、FSCシステムの信頼性を守るために存在します。木材、パッケージ、そして竹製のトイレットペーパーに至るまで、人々がFSCに寄せる信頼を守るためです。
私たちは、衛星画像やサプライチェーンの調査など、あらゆるツールを駆使して、FSCが本物の価値を意味するよう努力し続けています。
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