2013年に実施された管理木材基準草案第1版へのコンサルテーション結果を受けて、この度草案第2版が作成されました。本ページの英語原文はこちらです。

2014年6月30日(月)まで意見募集を行いますので、是非この機会にコメントを頂けますと幸いです。日本語でコメントを提出される方は、6月23日(月)までにコメントフォームをFSCジャパン汐見(shiomi@forsta.or.jp)までお送りください。

■目次

  • 背景
  • 管理木材に係る要求事項の内容
  • 草案第1版からの主な変更点
  • 暫定リスクアセスメントおよびナショナルリスクアセスメントについての特記事項
  • 草案第2版へのコメント提出方法
  • 認定基準
  • フィールドテスト
  • ファイルダウンロード

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■背景

2011年のFSC総会で承認された動議番号51番に従い、管理木材評価制度が現在改定されています。
環境・社会・経済の代表からなる管理木材技術委員、FSC理事会および利害関係者からの意見に従い、多くの文書が改訂されることになりました。変更点は以下の通りです:

  • 認証取得者自身が実施する管理木材リスク評価の廃止および、代替機能としてのナショナルリスクアセスメント(NRA)作成。
  • リスク定義を低リスク(low risk)、特定リスク(specifiedrisk)および未評価リスク(unassessed risk)へと変更。またNRAにより指定されていない場合は、認証取得者によるリスク低減措置の策定。
  • リスク低減措置の有効性について、改定認定基準に従い認証機関が評価。
  • 透明性の強化。リスク低減措置および苦情処理手順は関係者が意見を出せるように公開される。

管理木材の改定制度は、Centralized National RiskAssessment(CNRA)と認証取得者による2017年12月31日までの暫定リスクアセスメントの導入により、現実的な制度になるよう補完されます。

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■管理木材に係る要求事項の内容

基準改定にあたり、以下の2つの要素が大きく影響を与えました:

  • 草案第1版に対する利害関係者からの意見
  • 管理木材技術委員およびFSC理事会からの意見

利害関係者からの意見

利害関係者の積極的な関与に感謝します。多くのコメントをいただき、FSCでは慎重に分析、検討をしました
利害関係者からのコメントについての概要文書がこちらのFSC本部ウェブページ(英語)からダウンロード可能ですので、関心のある方はご覧ください。より詳細な情報が欲しい方は、Joanna Nowakowska (j.nowakowska@fsc.org)までご連絡ください。

理事からの意見

利害関係者からの意見の中には偏った考えも多く、また管理木材技術委員の間でも管理木材制度に対する姿勢が異なっていたことから、管理木材の今後の方向性に関して戦略を明確にする必要があることが認識され、そのため管理木材技術委員および管理木材運営委員からFSC理事会に対して管理木材戦略を構築することを提言した文書が提出されました。またこの低減の中では現在の制度改定の方向性についても言及しています。

多くの国で2014年末までにNRAが承認されないであろう状況が明らかになる中、現在の管理木材制度から新しい制度への以降をスムーズに行い、NRAの作成のきっかけとなるべく、FSC本部主導のリスクアセスメントを行うことが理事により承認されました。これによりCentralizedNational Risk Assessment(CNRA)が導入されることとなりました。

CNRAでは、現在の管理木材制度と改定管理木材制度のギャップを埋めるために、優先国において、管理木材の5つのカテゴリーの中で低リスクのカテゴリーを明確にすることを目的にします。これは認証取得者が低リスクの地域から管理木材を調達するための労力を低減し、管理木材調達計画を立てやすくすることに繋がると考えられています。

FSC理事会は、現在の管理木材制度改定が一段落した時点で、管理木材戦略を構築することに同意しています。

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草案第1版からの主な変更点

コンサルテーション対象文書の草案第1版から第2版への主な変更点は以下にまとめられています。

FSC-PRO-60-002 (NRA作成手順)

以下の提案が維持された、または含まれた:

  • 作成にあたり、FSCの監視の下、外部にワーキンググループを作成できる。
  • NRA見直し期間が5年毎に。ただし見直しの必要があるであろう事態が起こった際には、定期的な見直しの他に臨時の見直しを行う。
  • FSC本部による、国ごとのリスク決定過程への介入。

FSC-PRO-60-002a* (NRAフレームワーク) -重要!

  • 文書の構成をFSC標準文書に従って再構成。
  • 個々の指標に対して低リスクと特定リスクの閾値が定められた。
  • 管理木材リスク評価と高い保護価値(HCV)について、最大の規模(国、地域)が定められた。
  • リスク評価過程に規模、強度、リスクのコンセプトが導入された。
  • カテゴリー2、3について専門家の関与が必須になった。また専門家に対する最低限の必要要件が加わった。
  • 事前に十分な情報を与えられた上での自由意思に基づく合意は低リスクの場合は不要に。しかし特定リスクの場合は、リスク低減措置として必要である。
  • HCVのリスク評価の中で検討しなければいけない脅威が定められた。
  • NRAの中で特定リスクに対してリスク低減措置を指示または推奨できる。NRAがリスク低減措置を指示しない場合は認証取得者がそれを作成する。
  • いくつかの指標について、リスク低減措置の最低限必要なアウトプットが定められた。

*NRAフレームワークの文書番号がFSC-PRO-60-002bからFSC-PRO-60-002aに変更になりました。

FSC-PRO-60-002b (承認済みNRA一覧)

NRAや国特有の要求事項など、すべての承認済み管理木材文書が記載されている。

FSC-STD-40-005 (認証取得者向け 管理木材の調達に関する基準) -重要!

  • 大きな変更点は、未評価リスクの地域について、2017年12月31日までは認証取得者が暫定リスクアセスメントを行うことができるようになった。この期限までにFSCは必要な地域でNRAが存在することを確実にする。
  • リスク低減措置の作成に関する要求事項とガイダンスが追加された。また附属文書にリスク低減措置の例が含まれた。
  • リスク低減措置の一環として利害関係者への聞き取りが必要と判断された場合の利害関係者聞き取り手順の要求事項が加わった。
  • 認証機関により公開される文書に暫定リスクアセスメント結果が含まれた。
  • 2013年にコンサルテーションが行われたアドバイスノートの内容が含まれた。
  • 暫定リスクアセスメントの一貫性を強化するためにテンプレートが追加された。

FSC-STD-30-010 (管理森林の管理木材認証に関する基準)

本基準の要求事項は基準レベルに留められた。

  • 基準の数が減らされ、現在の管理木材の適用範囲を反映した。本基準に関係する場合はFSC原則と基準の言語が使用されるようになった。
  • 過去の自然林の転換に関する要求事項はFSC-POL-01-004 V2-0 Policyfor the Association of Organizationsでカバーされるようになった。
  • この基準はFSCのモジュラーアプローチプログラム(MAP)で使用されることを想定しているが、現在の管理木材制度改定においては、本基準とFSC原則と基準のギャップについては触れない。

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暫定リスクアセスメントおよびナショナルリスクアセスメントについての特記事項

管理木材技術委員は認証取得者によるリスク評価の可能性を残すことについて、非常に難しい決定を下しました。この決定にあたり、以下のような議論がされました:

  • NRA不在の国の存在: 管理木材技術委員は多くのFSCネットワークパートナーが管理木材制度改定を待っているために、予定していたNRAの作成を始めていないことを認識した。
  • リスク評価においてより強化された要求事項を使用することによる予防措置および透明性の確保:動議番号51に従い、認証取得者によるリスク評価は新たな管理木材制度のNRAに取って代わられることとなったが、当初は認証取得者によるリスク評価と同じ要求事項(管理木材評価カテゴリーと指標)でNRAを作成する予定であった。新たに認証取得者による暫定リスクアセスメントを許す代わりに、より強化された管理木材評価要求事項に従う必要があるという提案がされた。加えて、リスク評価と認証過程における透明性が強化された。
  • 管理木材戦略の構築: これは動議番号51の範囲外である。戦略構築にあたっては多くの利害関係者の関与の下で様々な意見をまとめていき、管理木材制度の目指すゴールを明確にする。
  • NRAまでに必要な国で2017年12月31日までにNRAが存在することを確実にするというFSCの公約

管理木材技術委員と管理木材運営委員はNRAの優先国を決める必要性を訴えてきました。こちらの優先国20カ国について、2014年中にNRAとCNRA作成状況を常に伝えられるようにしていきます。

承認済みのNRAはどうなるのか

NRAの低リスクについては2017年12月31日まで有効です。この期限までにNRAの責任団体が新しいNRA要求事項に基づいてリスク評価を見直します。

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草案第2版へのコメント提出方法

上記記載の文書について草案第2版のパブリックコンサルテーションを行います。この結果を受けて草案が最終版となる予定です。

コメントフォームを用いてコメントを提出してください。直接英語でコメントを提出される場合は、DarrenBrown(d.brown@fsc.org)まで、日本語で提出をする場合はFSCジャパン汐見(shiomi@forsta.or.jp)までお送りください。

英語で提出する場合の提出期限は2014年6月30日です。日本で提出する場合の提出期限は2014年6月23日です。

また英語とスペイン語だけではありますが、以下のトピックについてオンラインセミナーを行う予定です:

  • NRA/CNRA作成
  • 管理木材改定基準
  • 認定基準と管理木材改定フレームワークへの移行方法

6月30日までにそれぞれ2回以上のオンラインセミナーを実施する予定です。実施日時は決定次第お知らせいたします。

過去のオンラインセミナーの録画はこちらからダウンロードできます。

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■認定基準

認証機関向けの認定基準も管理木材の改定要求事項を反映して修正される予定です。こちらも近いうちにコンサルテーションが行われる予定です。主な変更点は:

FSC-STD-20-011 CoC審査のためのFSC認定基準

  • CoC-CW基準の実施過程で認証機関が利害関係者の聞き取りを行う必要がある。
  • 認証機関は認証過程についてFSCデータベースにレポートを公開する。

FSC-STD-20-012 森林管理者の管理木材認証審査のための基準

  • FM-CW基準と構成、用語を統一。他の文書との一貫性を向上。

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■フィールドテスト

NRAフレームワークの草案第1版がリトアニアでフィールドテストされました。フィールドテストの報告はこちらからダウンロードできます。FSCは改訂版認定基準草案を用いてFSC-STD-40-005とFSC-STD-30-010のフィールドテストも実施する予定です。

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 ■ファイルダウンロード

コンサルテーション対象文書およびコメントフォームは下記よりダウンロードをしてください。FSC-STD-40-005_V3-0_草案第2版の主要部分のみ日本語に仮訳したファイルもダウンロード可能です。

管理木材のリスク評価に関わっている認証取得者は、FSC-STD-40-005_V3-0およびFSC-PRO-60-002a V1-0の2つの文書を確認することが重要です。  
従来のFSC-STD-40-005V2-0に基づく、管理木材リスク評価から、新たにFSC-PRO-60-002a V1-0に基づくリスク評価に切り替わることにより、主にどのような変更点があるかを「管理木材リスクアセスメント実施方法の変更点」にまとめています。こちらもあわせてご覧ください。

FSC_newsentry_1399432999_file.zip
ZIP, サイズ: 206.67KB
FSC_newsentry_1399432943_file.pdf
PDF, サイズ: 1.11MB
FSC_newsentry_1399432895_file.pdf
PDF, サイズ: 1.91MB
FSC_newsentry_1399432842_file.pdf
PDF, サイズ: 586.18KB
FSC_newsentry_1399432795_file.pdf
PDF, サイズ: 1.53MB
FSC_newsentry_1399432730_file.pdf
PDF, サイズ: 1.33MB
FSC_newsentry_1399432543_file.pdf
PDF, サイズ: 880.28KB
FSC_newsentry_1401411896_file.pdf
PDF, サイズ: 758.35KB