ベトナムの木材サプライチェーンを対象に行われた取引情報照合調査の予備結果から、一部の認証取得者によって報告された取引には、潜在的な不一致がいつくか存在することが判明しました。具体的には、複数のサプライヤーが報告した販売量が、顧客が報告した購入量よりも少ないケースが見られました。
FSCと、監査のパートナーであるASI(Assurance Services International)は、2023年5月にこの調査を開始しました。目的は、ベトナムで伐採されたFSC認証木材の量と樹種を特定すること、そして木質ペレット製造に使用される原材料のサプライチェーンを追跡することです。
当初の調査対象は、CoC認証取得者368社と、森林管理認証取得者56社の合計424社で、2022年の取引データの提出を求められました。しかし、17社が回答を拒否したため、それぞれの認証機関によって認証が一時停止され、その後、一部は認証が取り消されました。
今回の取引情報の照合調査の第一段階(データ収集と分析)で、以下が明らかになりました。
- ベトナムで収穫された認証木材の98%はアカシアであり、ユーカリは主に輸入されていた。これらはFSC認証木材ペレットの生産に使用される主要な樹種である。
- ベトナム国内の森林認証管理区画では、Pinus、Tectona、Styrax、Magnoliaを含む様々な樹種の栽培と収穫が積極的に取り組まれている。
- Quercus、Tectona、Betulaなどの樹種は、さらなる加工のためにベトナムへ輸入されている。これは、ベトナムの認証取得者が北米、欧州、その他のアジア諸国など多様な地域からのサプライヤーと積極的に取引していることを示しており、ベトナムが国際的な木材貿易における主要な役割を担っていることを裏付けている。
- 多数のCoC認証取得者が、管理原材料供給源から木材を調達している。また、認証取得者は輸出するバイオマス製品に対してFSC管理木材の主張を行っている。
- 一部の認証取得者は、FSC管理木材に関する規格(FSC-STD-40-004-V1、5.6項)に反し非認証取得者に対して、FSC管理木材の主張を付けて製品を販売した。
- サプライチェーンで取引されたFSC管理木材の量は、FSC認証林から調達された木材の量を上回っていた。
調査で明らかになった現状と課題
今回の取引情報照合調査で収集されたデータから、ベトナムの認証取得者、特にバイオマス分野の企業は、「管理原材料供給源」に強く依存していることが明らかになりました。
管理木材は、非認証林から調達されますが、認証取得者はFSCの定める要求事項に従って木材を調達する必要があります。しかし、ベトナム国内でFSC管理木材の主張が広まるにつれて、厳しい認証プロセスを経て自身の森林を認証林にしようと考える森林管理組織は減ってきています。
FSCの今後の取り組み
管理木材も責任ある林業を支えるものですが、FSCはベトナムの小規模またはコミュニティ生産者の森林において、森林管理認証(FM認証)の取得をさらに推進していく方針です。
この取り組みは、森林管理認証(FM認証)を増やし、管理木材よりもFSC認証林由来の木材を優先して選択してもらえるようにするための、FSCの活動の一環です。
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