PEFCは、各国で独自に作成された認証制度を承認することで発展してきており、認証林面積を大きく広げています。以前よりグリーンピースはPEFCの規格は曖昧かつ脆弱で、責任ある森林管理を保障するものでないと批判的でしたが、3月3日にPEFCが中国の中国森林認証管理委員会(CFCC)による認証制度を承認したことで、改めてその見解を示しました。

この記事の中でグリーンピースは、PEFCのような業界主導の森林および製品認証制度が本当に責任ある森林管理を保障できるのか疑問を唱え、「これらの(業界主導の)制度には、森林の社会的、生態的価値を保護するのに必要な要件がなく、各国での規格作成および認証プロセスにおいても利害関係者の関与は不平等で脆弱だ」と述べています。

特に中国ではPEFC/CFCCの認証現場において利害関係者の意見を聞く場が十分に設けられるかどうか、システムの透明性に懸念を示しました。既に自然林の伐採後に植えられた人工林がCFFCで認証されたケースもあり、規格を強化し、システムをより透明化しなければ、中国の森林もそれに依存する人々も、さらにはPEFCの評価も危機に晒されることになるだろうとしています。

この記事の中でPEFCとFSCが比較されていますが、次の5つの点から、「PEFCは、FSCの最低条件である管理木材の基準にも及ばない」と結論しています。

  • FSCでは森林の生態的価値を維持するために予防的アプローチが義務付けられているのに対し、PEFCでは生態系に永続的な損傷を与えなければいいとされていること。 
  • FSCでは先住民による自由意思に基づき、十分な情報を与えられた上での事前合意(FPIC)が義務付けられているのに対し、PEFCの最低要件は森林管理の決定をする上で先住民との相談だけであること。 
  • 容認できない由来の定義が狭く、伝統的・慣習的権利や保護価値の侵害については不十分であること。2012年にNEPCから発表された分析結果によると、FSCの管理木材の規格を満たすPEFC傘下の各国規格は、18カ国中3カ国のみであること。 
  • FSCは2009年に「組織とFSCとの関係に係る指針」を定め、FSCが対象とする組織の最低基準を定めましたが、PEFCには同等のものがないこと。 
  • PEFCが承認しているマレーシアの認証制度(MTCS)の規格において一定の単一樹種の人工林への転換が許容され、2010年12月31日以降の転換は認められないとする規格にも幅広い解釈が見受けられること。

グリーンピースは2011年に発表したレポートで、「責任ある森林管理」に期待される基本的な要件がPEFCで満たされていないと批判していましたが、具体的に次のような例を挙げていました。

  • スウェーデン、フィンランド、チェコ、米国、カナダ、チリ、スペインの原生林における伐採の横行と生息地の破壊 
  • マレーシア、チリ、米国、カナダにおける自然林の単一樹種人工林への転換 
  • スウェーデン、カナダ、チリにおける先住民、または地元森林集落の権利の侵害 
  • チェコ、米国、チリ、スペインの森林・人工林における土壌流失と流域への損害 
  • 米国、オーストラリア、チリにおける危険なレベルの化学薬品の使用

このレポート発表後、PEFCからは何の反論もなかったとしています。PEFCから認証を受けているからといって必ずしも問題がある、とは限らないものの、一方でPEFC傘下のマレーシアの認証制度MTCSがオランダ政府の調達方針の中で責任ある認証制度として認知されないなど、その社会的評価は問題になっています。

多くの環境・社会団体はPEFCに不信感を示したまま、制度に参加しようとしていません。「最低限、PEFCが責任ある森林施行について現場で劇的な改善を見せない限り、市民団体は参加しようとはしないだろう」とグリーンピースは結論しています。

記事の全文は、グリーンピースのウェブサイトでご覧いただけます(英語のみ)