フィールドテストは、できるだけ異なる環境で草案を試すため、組織の形態や地理的条件の異なる2つの認証取得者の協力をいただき行われました。1回目のフィールドテストは、原則3の先住民族の権利を試す必要性も考慮し、2016年9月、北海道の三井物産の森で行い、2回目はグループ認証取得者である、高知県の四万十町森林組合で行いました。
フィールドテストでは、以前の規格から新たに加わった要求事項や変更点を中心に、指標の妥当性が評価されました。評価を担当したのはSGSジャパン株式会社とアミタ株式会社でそれぞれ普段からFSC FM認証の審査を行っている2人の審査員です。これに、規格策定グループの代表と調整者としてFSCジャパン職員が同行しました。
規格草案を試すという本来の目的に加え、このフィールドテストでは異なる認証機関の審査員が現場で一緒に審査をし、自由に意見を交換できる大変貴重な場となりました。普段、異なる認証機関の審査員はそれぞれお世話している認証取得者に対して審査を行い、互いに交流することはあまりありません。これまでは国内で統一された森林管理がなかったため、FSCのルールに基づき、それぞれの認証機関で整えた暫定規格が認証の現場で使われていました。また、規格作成の中心となっている規格策定グループのメンバーによっては、規格が適用される現場を見る機会は限られていました。今回のフィールドテストでは、同じ要求事項でも解釈の違いが明らかになるなどの新たな発見があり、参加者全員が立場や組織の違いを超えてFSCの規格への理解を深めながら、規格をより良いものにするための建設的な話合いを行いました。
「このフィールドテストでは、規格草案を試すだけではなく、立場が違う関係者が協力して現場の問題を話し合い、FSC認証の今後を話し合うまたとない機会となった。このフィールドテストの結果は、規格策定グループで再度話し合い、認証取得者が現場で実践しやすいよう、規格に反映していくつもりだ。」と第2回のフィールドテストにも同行した、規格策定グループ議長の太田猛彦は話しています。